大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和57年(わ)4083号 判決

裁判所書記官

山村貞二

本店所在地

大阪府東大阪市長田西四丁目一七番地

株式会社ワーク

(右代表者代表取締役田中毅)

本籍・住所

大阪府東大阪市足代北二丁目一一番地

会社役員

田中毅

昭和二〇年七月三〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官鞍元健伸出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

一、被告人株式会社ワークを罰金四、五〇〇万円に、被告人田中毅を懲役二年に、各処する。

一、被告人田中毅に対し、この裁判確定の日から、三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社ワーク(以下「被告会社という。)は、大阪府東大阪市長田西四丁目一七番地に本店を置き、自動車部品、用品の製造販売を目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人田中毅は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人田中毅は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て公表経理上、売上げの一部を除外し、架空経費を計上し、よって得た資金を仮名の定期預金等として留保するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五三年九月一日から同五四年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四億二、〇七四万八、九五三円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五四年一〇月三一日、大阪府東大阪市永和二丁目三番八号所在の所轄東大阪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億六、四五〇万一、三三二円でこれに対する法人税額が六、四三五万四、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一億六、六八四万七、九〇〇円と右申告税額との差額一億〇、二四九万三、一〇〇円を免れ、

第二  昭和五四年九月一日から同五五年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億四、三三〇万〇、〇五三円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五五年一〇月三〇日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億九、五五六万〇、九〇二円でこれに対する法人税額が七、五一五万一、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一億三、四二四万一、四〇〇円と右申告税額との差額五、九〇八万九、九〇〇円を免れ、

第三  昭和五五年九月一日から同五六年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億九、一一九万四、三六〇円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五六年一〇月三一日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億五、五七五万二、〇六八円でこれに対する法人税額が一億〇、二一六万七、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一億五、九〇四万九、〇〇〇円と右申告税額との差額五、六八八万一、三〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人田中毅の当公判廷における供述

一  同被告人の検察官に対する供述調書

一  収税官史の同被告人に対する質問てん末書四通

一  長谷伸次、藤本定、寺内立安、寺内孔美子、西城武志、田中純代の検察官に対する各供述調書

一  収税官史の長谷伸次、藤本定、寺内立安、寺内孔美子(七通)、西城武志(五通)、田中純代(一一通)に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の昭和五七年四月八日付け「証明書」と題する書面

一  収税官史作成の査察官調査書一九通

一  被告会社作成の法人税確定申告書謄本三通

一  大阪法務局東大阪支局登記官作成の法人登記簿謄本

一  収税官史作成の脱税額計算書三通

(法令の適用)

被告人田中毅の判示第一、第二の各所為は、いずれも行為時においては、昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の法人税法一五九条一項に、裁判時においては、改正後の法人税法一五九条一項に該当するが、犯罪後の法令により刑の変更があったときにあたるから、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、判示第三の所為は、改正後の法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条一項、一〇条により最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人田中毅を懲役二年に処し、情状により同法二五条一項によりこの裁判確定の日から三年間、その刑の執行を猶予する。

被告人田中毅の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、判示第一、第二の各所為につき昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項により改正前の法人税法一五九条一項の罰金刑に、判示第三の所為につき右昭和五六年法律第五四号による改正後の法人税法一六四条一項により改正後の法人税法一五九条一項の罰金刑に各処すべきところ、情状により法人税法一五九条二項を適用し、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金四、五〇〇万円に処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 金山薫)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和53年9月1日

至 昭和54年8月31日

〈省略〉

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和54年9月1日

至 昭和55年8月31日

〈省略〉

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和55年9月1日

至 昭和56年8月31日

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例